神奈川県厚木市発なので神奈川近隣では非常に人気の高いサンクトガーレン。

2013年から春になると毎年出している「さくら」。
毎年さらに良いビールを目指して少しずつマイナーチェンジしている様子。

 

ビールデータ

ビール名:SAKURA2022
生産地:日本 神奈川県厚木市
生産者:SANKT GALLEN BREWERY
アルコール:5%
IBU(苦さ 平均15~20):17
モルト:ペールエール、ウィート
ホップ:コロンバス(トマホーク) ニュージーランド・ネルソンソーヴィン
タイプ:ハーブ・スパイスビール
価格:900円(330mL瓶)

ブリュワリー

岩本社長はサンクトガーレンの設立前、父の経営する飲茶店でビールづくりをしていました。
当時、飲茶店を国内とサンフランシスコで経営しており、向こうで出会ったビールがこの道に入ったきっかけで、日本のビールにはない、華やかな香り、しっかりした味わいに惚れ込んでいったのです。

当時、日本では小規模のビール醸造が認められていなかったので、サンフランシスコでつくり、現地の直営ブルーパブで販売していました。
そして六本木の直営飲茶店にも逆輸入して販売。
それは当時の日本の産業規制の象徴としてTIMEやNEWSWEEKなどのアメリカメディアで取り上げられました。
「岩本のビール造りの夢はかなった。ただしそれは日本ではなく、アメリカで」と皮肉たっぷりに。

それが今度は日本のメディアに飛び火。それをきっかけに1994年、小規模のビール醸造が認められるようになります。
それがいわゆる“地ビール解禁”。
日本の地ビールの歴史の幕開けです。
日本に戻ってきたのは1997年、神奈川県厚木市にビール工場を作り、地ビールブームも追い風となり、最初は順風満帆でした。

しかし、ブームは去り状況は悪くなり国内の飲茶店も行き詰まっている感がありました。
そして2001年、ついにビールづくりができなくなったその年、皮肉にも岩本社長が出品したビール全てが入賞。
悩んだ末2002年に自分の生涯を掛けてビールを造り続けるため、新しい会社『サンクトガーレン』をたった1人で設立。

『サンクトガーレン』として初めてビールをつくれるようになったのが2003年春。
現在は苦いビールが嫌いな人の為にスイーツビールやチョコスタウトなども作り、人気を得ています。

このビールは

長野県伊那市高遠の桜の花・桜の葉を使った桜餅風味のビールです。
長野県伊那市高遠の桜は「天下第一の桜」と称され「さくら名所100選」にも選ばれています。
通常ビールは大麦麦芽でつくりますが、このビールは大麦麦芽にプラスして小麦麦芽を使用。
そのため、柔らかく優しい口当たりです。
ビールの苦味のもとになるホップの使用は抑え、高遠の桜の花びらと葉で風味付けをしました。
桜茶などにも使われる食用の八重桜を1回の仕込み(2340L) に60Kg使用しています。

桜の収穫は毎年GW前後に行われています。
摘み取った桜はすぐに塩漬けにされます。
桜・塩・水を交互に加え、力をかけて三分の一程度にまで圧縮。
それを冷蔵庫で1年程度寝かせれば完成です。
ビールに使うときには、前日から流水にさらして塩抜きしてから使います。
ビールの桜餅のような香りは、クマリンという成分。
咲いている桜の中では糖と結合していて、香りはしません。
塩漬けにすることで糖が分離してクマリンが生成され、桜餅のような香りを放ちます。

桜餅にはクレープ状の皮で餡を巻く関東風の長命寺と、 餅米を使った関西風の道明寺の2通りあります。
サンクトガーレンでは社長の岩本が福岡県出身ということもあり、目指したのは道明寺桜餅のような味わい。

通常の大麦麦芽にプラスして、柔らかい口当たりを出すために小麦麦芽を20%使用。
さらに神奈川県海老名市の泉橋酒造で栽培された酒米”楽風舞(らくふうまい)”も併せて用い、お餅のような甘くふっくらした風味をビールにプラスしています。

テイスティング

明るい黄金色。
桜の香りが口腔内に広がる。
桜餅を食している幻影が…
意外にホップがしっかり。

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