飲んだワイン シャトー・マルゴー/マルゴー・デュ・シャトー・マルゴー2013

ファーストヴィンテージが出たときは1万円くらいでそれでも高価だと感じたのに、今では2万円近い値段に。
良い出来の年だったようで、まだまだ熟成が出来そうな味わいでした。
|
ワインデータ
ワイン名:Margaux du Ch. Margaux
生産地:France > Bordeaux > Haut Médoc > Margaux
生産者:Ch. Margaux (シャトー・マルゴー)
品種:Cabernet Sauvignon (カベルネ・ソーヴィニヨン), Merlot (メルロ)
スタイル:Red Wine
ワイナリー
シャトー・マルゴーが歴史上最初に文献に登場するのは12世紀のことである。
当時は「ラ・モット・ド・マルゴー」の名で呼ばれていた農園であった。
アキテーヌは百年戦争終了時までイングランド王領であり、獅子心王リチャード1世はボルドーワインを日々の飲用に取り入れた。
この時代にシャトー・マルゴーは数々の貴族の所有となったが、1570年代にピエール・ド・レストナックという貴族が所有者となったことが一つの転機となった。
メドックがワインの産地として発展すると予測したド・レストナックは、1572年から1582年の間にシャトーの穀物畑を縮小してブドウ畑を増やし、ワインの生産に力を入れ現在のシャトーの礎を築いた。
18世紀初めまでにシャトーの敷地は現在と近い広さにまで拡大した。
18世紀はワインの醸造技術が大きく進歩し、現代の製品に近い、濃厚で複雑な味わいを持ち、長年の熟成にも耐えるワインが誕生した時代であった。
シャトー・マルゴーでもブドウの収穫や土壌の改良に革新的な技術が導入された。
そしてルイ15世の治世、愛妾ポンパドゥール夫人がシャトー・ラフィットを宮廷に持ち込むと、その次の愛妾デュ・バリー夫人はシャトー・マルゴーを宮廷に持ち込み愛飲したのである。
18世紀末期、シャトーは大富豪ジョゼフ・ド・フュメルと娘のマリー・ルイーズの所有となったが、この親子はフランス革命のあおりを受けてギロチンにかけられ、シャトーは革命政府に没収された。
1801年、シャトーはド・ラ・コロニラ侯爵の手に渡った。
ド・ラ・コロニラは当時一流の建築家ルイ・コンブに依頼し、エチケットの絵柄ともなっている壮麗なギリシア神殿風のシャトーの建物を1815年に完成させた。
19世紀半ばのフランス第二帝政の時代にシャトーの所有者となったのは、皇后ウジェニーの侍女も務めたスコットランド人女性エミリー・マクドネルであった。
1855年のパリ万国博覧会の際に皇帝ナポレオン3世の指示でメドックのワインの格付けが実施されたとき、シャトー・マルゴーはブラインドテイスティングで唯一20/20点を獲得し、シャトー・ラフィット、シャトー・ラトゥールに次ぐ第1級第3位にランクされた。
第二帝政の時代、蒸気船や鉄道といった輸送手段の発達、自由貿易体制の確立、イギリスにおける需要拡大などの要因により、ボルドーワインは黄金時代を迎えた。
だがエミリー・マクドネルはナポレオン3世の失脚により、ウジェニーと共にイギリスへ亡命した。
1934年、シャトーはボルドーのネゴシアンであるジネステ家の所有となった。
ジネステ家はセカンドラベルを導入したり、ブドウ畑を拡大したり、醸造設備への投資にも熱心に取り組んだ。
しかしシャトー・マルゴーは1960年代から1970年代にかけて一時期その名声を落としてしまう。
そしてジネステ家は1973年から1974年の「ワインの大暴落」の際に大きな損失を出した。
1976年にジネステ家からシャトーを買い取ったのはギリシャ人アンドレ・メンツェロプーロスであった。
彼は各国での事業で財を成し、フランス人女性を夫人としてフランスでもスーパーマーケット「フェリックス・ポタン」を買収した実業家であった。
ボルドー大学の醸造学者エミール・ペイノーを技術顧問に迎え、シャトー・マルゴーの名声を取り戻していった。
1980年に亡くなり、2006年現在、シャトーは娘のコリーヌ夫妻と総支配人ポール・ポンタリエの手によって運営されている。
このワインは
シャトー・マルゴーにとって、卓越性は常にワイン造りの鍵となる理念でした。
17世紀にはすでにこのこだわりが、2番目のワインの誕生へとつながりました。
当初は「シャトー・マルゴー 2番目のワイン」と名付けられましたが、1908年に「パヴィヨン・ルージュ・ド・シャトー・マルゴー」となりました。
時を経るごとに、精密さを追求する姿勢がより強まり、選別はますます厳格になりました。
この高まる要求が、パヴィヨン・ルージュの品質向上をもたらし、その結果、当時は樽詰めされずバルク販売されていた3番目のワインの品質向上にもつながりました。
2009年のヴィンテージは、並外れた品質を誇り、転機となりました。
この3番目のワインはバルク販売されるのではなく、パヴィヨン・ルージュと同じように樽熟成が施され、瓶詰めされることになりました。
こうして誕生したのが「マルゴー・デュ・シャトー・マルゴー」、シャトーの3番目の赤ワインであり、自社畑のブドウのみを使用しています。
より親しみやすいワインとして、ワイン愛好家や新しい世代にシャトー・マルゴーの世界への入り口を提供し、そのテロワールのエレガンスと繊細さを表現しています。
生産量が限られているため、「マルゴー・デュ・シャトー・マルゴー」は厳選されたレストランや一部のワインショップのみで取り扱われています。
2013年ヴィンテージ
冬の終わりや春の気温が極めて低かったため、芽吹きは遅れ、開花期も平年より10日ほど遅く訪れました。
また、これらの時期はずっと降雨量も多かったため、開花はもどかしいテンポで進み、結実状況も厳しく、特にメルロ種はミルランダージュ(結実不良)が蔓延し、不結実も多く見受けられました。
後者の現象は、カベルネ種については被害がより少なかったと言えます。
ただ一挙に、2013年ヴィンテージは生産量が期待できない状況となってしまいました・・・。
幸いにも、夏の日照りのおかげでブドウの生育の遅れを幾分取り戻すことができ、色付き期は開花期ほど不揃いにはなりませんでした。
おそらく少量のブドウだったからこそ、生育の遅れを取り戻すことができたのでしょう。
9月初旬は、少ない収穫量とはいえ、素晴らしい状況でブドウが熟していくであろうと期待は高まりました。
9月は、比較的乾燥していると同時に雨量も多いという、不可解な天候でした。
小雨は多かったものの、大雨を誘発することなく、また雨量も多すぎることはなく湿度を保つことが出来ました。
9月末までは特に収穫に影響を及ぼす気象状況ではありませんでしたが、突如、灰色カビ病が進行したため、収穫開始を早めました。
とはいえ、最終的にはブドウの理想的熟度に達するのに1週間ほど足りない程度で、偉大なヴィンテージへの望みは絶たれたものの、すべての期待が失われたわけではありませんでした。
白ワイン用ブドウ品種の収穫は9月19日から27日、赤ワイン用ブドウ品種の収穫は9月30日から10月11日にかけて行われました。
高品質なサードワインを造ることは、偉大なテロワールや優れたヴィンテージにおいては比較的容易い一方、すべての区画が完璧な熟度に達することのできないような収穫年においては、より難題であると言えます。
では2013年のような収穫年は、卓越を追求し続けるために、どうすればよいのでしょうか?
実際、カベルネ種やメルロ種の晩熟型のいくつかの区画は結実不良に見舞われ、必ずしも私たちの期待に応える結果が得られたわけではありませんでした。
こうした思いを念頭に置き、この年のブレンドが導き出されました。
パヴィヨン・ルージュのとても出来のよいロットをマルゴー・デュ・シャトー・マルゴーに加えることによって“支え”とし、そして生産量の約4分の1を4番目のカテゴリーにふるい落としました。
マルゴー・デュ・シャトー・マルゴーはこれまで格下げされたロットのブレンドと見なされていましたが、量り売りをするボリュームは変更しないまま、最終的には以前パヴィヨン・ルージュのブレンドに加えられていたワインだけで構成されました。
こうしてマルゴー・デュ・シャトー・マルゴー2013年は、パヴィヨン・ルージュを厳格に選別し(全収穫の21%のみ)、あまり出来の良くなかった区画を排除(これらは4番目のカテゴリーとして量り売り)するという状況を有効利用して生まれました。
メルロはブレンドの12%だけにとどめ、この年の主な成功品種であるカベルネ・ソーヴィニヨンが大半を占めています(全体の88%)。
この収穫年における最高のワインのイメージは、フレッシュで香り高く、 口当たりはこの上なく柔らかで、ざらつきや荒々しさはまったくありません。
魅力にあふれ、繊細な料理と相性が良く、他の収穫年のような長期熟成の可能性はないものの、味わった時にすぐさま喜びを与えてくれるワインとなりました。
テイスティング
中心には艶のあるルビーレッドが広がり、縁にはほんのりと赤みを帯びたガーネットのグラデーション。
透明感がありながらも深みがある。
続いて香りの第一印象は、赤土を思わせる温かみのある香ばしさ。
そこに、カシスやブルーベリーといった黒系果実の力強いアロマが調和し、ふわりと鼻に届くのはミントや爽やかなハーブの清涼感。
さらに、繊細な杉の木、ほのかに漂うカカオやナッツ、控えめなクローブの甘苦さが複雑に折り重なり、蜜をまとったチョコレートやチェリーの柔らかいニュアンスが香りに立体感を与えています。
時間とともに団子のように密だった香りがゆっくり解きほぐれ、より洗練された印象へと変化していくのも魅力です。
味わいは、口に含んだ瞬間に広がる、シルキーなタンニンと丸みのある酸味の見事なコンビネーション。
口当たりは柔らかく、それでいて芯のある酸が味わいを支えています。
程よいドライさの中に、果実のジューシーさとコクがバランス良く共存しており、噛みしめるような瑞々しさが奥行きをもたらします。
ワイルドブルーベリーやカラタチを思わせる個性豊かな果実感に、ほろ苦さが繊細に絡み、ナチュラルな旨みが余韻を彩ります。
ハーブやなめし革、土のニュアンスも顔を見せ、ラストは芳醇ながらも爽やかな後味で締めくくられます。
タンニンは粘性がありながらも滑らかで、口中に心地よい余韻を残します。
まだまだフレッシュ感はあったので、もっと寝かせても良さそうでした。