飲んだワイン フリーマン/ロシアン・リヴァー・ヴァレー ピノ・ノワール2014 7点
初めて飲んだと思われるワイナリー。
日本人のアキコさんがワインメーカー。
ソノマコーストと同じくエントリーモデルですが、それでもいい値段。

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ワインデータ
ワイン名:Russian River Valley Pinot Noir
生産地:USA > California > Sonoma
生産者:Freeman Winery (フリーマン・ワイナリー)
品種:Pinot Noir (ピノ・ノワール)
スタイル:Red Wine
ワイナリー
2001年の創設以来、フリーマンは冷涼気候のピノ・ノワールとシャルドネのパイオニアのひとりとして、太平洋からの影響がワインの特徴を形成する、カリフォルニアでも西端のワイン生産地に畑を拓く方向へと舵を取って来ました。
こうして、更に絶妙なバランスを持ち、洗練されていて奥深いワイン造りのスタイルを確立し、世界中の愛好家やコレクターからの愛顧をあずかっています。
フリーマン・ヴィンヤード&ワイナリーは2001年にケン・フリーマンとアキコ・フリーマンによって設立されました。
が、その種が蒔かれたのはこれより遡ること16年前です。
ロシアン・リヴァー・ヴァレーにある絵のように美しいこのワイナリーを訪れる方から、カーブの入り口にある1985年9月28日の日付が刻まれたキーストーンのことを尋ねられることがよくあります。
それは、フリーマンの物語の核となる瞬間を刻むものなのです。
1985年、カリブ海に向かうヨットを操縦していたケンは、ハリケーン「グロリア」に見舞われ、故郷のニューヨーク州スカースデール近くの港に向かうことを余儀なくされました。
そこで立ち寄ったパーティで、ジーンズとTシャツ姿の参加者らの中でただひとり、シャネルのドレスに美しく身を包んだアキコの姿を見つけました。
アメリカに来たばかりのアキコは、まだ学生たちのライフスタイルを知らず、日本のパーティの装いで参加していたのです。
ケンのひとめ惚れでした。
1985年9月28日のことです。
ハリケーンがきっかけで出会ったふたりは、冷涼な気候が育んだ洗練されたピノ・ノワールとシャルドネを追及することへの情熱を共有していました。
カリフォルニアでもブルゴーニュ同様、複雑で人を惹きつけて止まないワインを造ることができるという確固とした信念に駆られ、その夢を叶える場所を求め300以上の候補地を見て回りました。
そして最終的にソノマ・カウンティの西部、急峻な丘陵地帯を冷たい海風が吹き抜けるこの地に辿り着いたのです。
最初のヴィンテージから、フリーマンのスタイルは当時の風潮とは逆を行っていました。
他のワイナリーが限界までブドウの熟度を上げようとする中、アキコとコンサルタントのエド・カーツマンはバランスの良さと洗練を追求しました。
今日では、アキコがワインメーカーとして指揮を執り、フリーマンはカリフォルニアで最も評価の高いブティックワイナリーのひとつとして国際的に認められています。
このワインは
2014年はロシアン・リヴァー・ヴァレーにとって転換期の年であり、その冬に干ばつが本格化しました。
1月と2月は暖かく乾燥していたため、ブドウの萌芽は例年より早く始まりました。
3月には待望の雨が降り、その後4月に寒波が訪れました。
これにより低地では一部霜の問題が発生しましたが、5月末までにはおおむね良好な結実が得られました。
暖かい夏の影響で記録的に早い収穫となり、果実の品質と濃縮度はいずれも非常に高いものとなりました。
フリーマン自社のグロリア・エステート・ヴィンヤードが、2014年のロシアン・リヴァー・ヴァレー・ピノ・ノワールの主体を占めています。
このブレンドには、グロリアで栽培される5種類のクローン(カレラ、ポマール、マルティーニ、スワン、115)がすべて使用されています。
この畑は2014年の栽培シーズンを経て本格的に個性を発揮し始め、若いながらも美しく成熟しつつあります。
続いて、ロシアン・リヴァー・ヴァレーのセバストポル・ヒルズ地区に位置する2つの畑を使用しました。
スワン選抜のソーン・リッジと、クローン2Aを持つセクストンです。
ソーン・リッジは2004年以来このブレンドの一部であり、ジム・プラット氏が手掛けるセクストンの2Aは2005年から調達しています。
2年連続で、セクストンの果実はソノマ・コーストのボトリングよりもロシアン・リヴァー・ヴァレー・ピノに適していると判断しました。
冷涼な年にはセクストンはソノマ・コースト的な特徴を示しますが、2014年のような暖かい年には、ロシアン・リヴァー・ヴァレーらしさが際立ちます。
通常であれば、キーファー・ランチがフリーマンのロシアン・リヴァー・ヴァレー・ピノの大部分を占めますが、春の霜の影響で2014年の収量は減少し、わずか4樽分しか使用できませんでした。
残りのキーファーの果実は2014年の単一畑キーファー・ランチ・ピノ・ノワールに使用されています。
このワインは、フリーマンがこれまでに造ったロシアン・リヴァー・ヴァレー・ピノ・ノワールの中でも最もフルボディな仕上がりのひとつです。
色合いは通常よりも濃く、香りは最初やや閉じ気味ですが、空気に触れることでブラックラズベリーやオークのニュアンスが現れます。
味わいには、ロシアン・リヴァー・ピノに期待される豊かな赤い果実が広がり、さらに例年よりもしっかりとしたタンニンが感じられます。
この骨格と長い余韻は、ゆっくりとした熟成の可能性を示唆しています。飲み頃は2017年から2024年です。
畑構成
グロリア・エステート 42%
ソーン・リッジ 23%
セクストン 23%
キーファー・ランチ 12%
発酵
開放型発酵槽で5日間の低温浸漬。
1日に1~3回の手作業によるパンチダウン。
フリーランワインは直接樽へ。
プレスワインは沈殿後、別々に樽熟成。
樽熟成
フレンチオークで11か月:
新樽 25%
1年使用樽 13%
2年使用樽 28%
3年使用樽 22%
4年使用樽 12%
瓶詰
2015年7月
生産量
750ml:1008ケース
1.5L:18ケース
テイスティング
濃いラズベリーレッドから深いルビーレッドまでのグラデーションがグラスの中で美しく映え、やや強めの粘性がグラスの縁にゆっくりと残ります。
香りは非常に多層的で、豊かな果実と複雑な要素が折り重なります。
ブルーベリーやブラックベリー、プルーン、スグリといった濃密な果実に、いちじくやレッドチェリーの甘やかなニュアンスが加わります。
さらに、スミレの華やかさ、シナモンやトースト、フレンチオーク由来の芳醇な香りが深みを演出します。
ブラックティーや革のような上品な要素も感じられ、温かみのあるスパイスと共に、香り全体が絶妙な調和を保っています。
新樽の存在感はしっかりとしながらも、果実の個性を引き立てる役割を果たしており、香りに一層の奥行きを与えています。
味わいは、アタックからしっかりとした果実味が広がり、甘やかさと爽やかな酸が見事なバランスを保っています。
タンニンはきめ細かく、力強さを感じさせながらも口当たりは滑らかで、飲み心地は非常に心地よいものです。
カリフォルニアらしい豊潤さを備えつつも、全体的に抑制の効いたエレガントな造りが印象的です。
冷涼なソノマの気候による引き締まった酸がワインに鮮やかな輪郭を与え、豊かな果実味とスパイスの余韻が長く続きます。
最後には、しなやかでありながら奥深いフィニッシュが心地よく残り、もう一口を誘う仕上がりです。
飲んだ日:2018-05-18
飲んだ場所:PINOT PALOOZA Tokyo 2018
価格:7,700円(公式HPで48ドル)
インポーター:ワイントゥスタイル