飲んだワイン フリーマン/アキコ・キュヴェ ピノ・ノワール2015 8点
初めて飲んだと思われるワイナリー。
日本人のアキコさんがワインメーカー。

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ワインデータ
ワイン名:Akiko’s Cuvée Pinot Noir
生産地:USA > California > Sonoma
生産者:Freeman Winery (フリーマン・ワイナリー)
品種:Pinot Noir (ピノ・ノワール)
スタイル:Red Wine
ワイナリー
2001年の創設以来、フリーマンは冷涼気候のピノ・ノワールとシャルドネのパイオニアのひとりとして、太平洋からの影響がワインの特徴を形成する、カリフォルニアでも西端のワイン生産地に畑を拓く方向へと舵を取って来ました。
こうして、更に絶妙なバランスを持ち、洗練されていて奥深いワイン造りのスタイルを確立し、世界中の愛好家やコレクターからの愛顧をあずかっています。
フリーマン・ヴィンヤード&ワイナリーは2001年にケン・フリーマンとアキコ・フリーマンによって設立されました。
が、その種が蒔かれたのはこれより遡ること16年前です。
ロシアン・リヴァー・ヴァレーにある絵のように美しいこのワイナリーを訪れる方から、カーブの入り口にある1985年9月28日の日付が刻まれたキーストーンのことを尋ねられることがよくあります。
それは、フリーマンの物語の核となる瞬間を刻むものなのです。
1985年、カリブ海に向かうヨットを操縦していたケンは、ハリケーン「グロリア」に見舞われ、故郷のニューヨーク州スカースデール近くの港に向かうことを余儀なくされました。
そこで立ち寄ったパーティで、ジーンズとTシャツ姿の参加者らの中でただひとり、シャネルのドレスに美しく身を包んだアキコの姿を見つけました。
アメリカに来たばかりのアキコは、まだ学生たちのライフスタイルを知らず、日本のパーティの装いで参加していたのです。
ケンのひとめ惚れでした。
1985年9月28日のことです。
ハリケーンがきっかけで出会ったふたりは、冷涼な気候が育んだ洗練されたピノ・ノワールとシャルドネを追及することへの情熱を共有していました。
カリフォルニアでもブルゴーニュ同様、複雑で人を惹きつけて止まないワインを造ることができるという確固とした信念に駆られ、その夢を叶える場所を求め300以上の候補地を見て回りました。
そして最終的にソノマ・カウンティの西部、急峻な丘陵地帯を冷たい海風が吹き抜けるこの地に辿り着いたのです。
最初のヴィンテージから、フリーマンのスタイルは当時の風潮とは逆を行っていました。
他のワイナリーが限界までブドウの熟度を上げようとする中、アキコとコンサルタントのエド・カーツマンはバランスの良さと洗練を追求しました。
今日では、アキコがワインメーカーとして指揮を執り、フリーマンはカリフォルニアで最も評価の高いブティックワイナリーのひとつとして国際的に認められています。
このワインは
このワインは、刺激的なスパイスとダークフルーツの香りから、豊かでありながら活き活きとした味わい、そして熟成の可能性を感じさせる力強い構造まで、全てがクラシックなスタイルです。
細やかなタンニンが豊富に含まれており、中〜フルボディで、重厚感と濃縮感に満ちています。
2002年の初ヴィンテージ以来、毎年Freemanでは特別な「Akiko’s Cuvée ピノ・ノワール」をリリースしています。
毎年一度、Akiko Freemanとワイン製造コンサルタントのEd Kurtzmanが最新の収穫のピノ・ノワールの樽ごとにテイスティングを行い、お気に入りの樽を選びます。
次に、それぞれのトップ樽を組み合わせてブレンド(キュヴェ)を作り、全員がブラインドで各ブレンドのサンプルをテイスティングします。
誰の好みの樽がどのブレンドに入っているかは分かりません。
最終的に「Akiko’s Cuvée」と呼ばれるブレンドが選ばれますが、ほとんどの場合、彼女のブレンドがこのブラインドテイスティングで勝ちます。
2015年には、AkikoのブレンドがAkiko’s Cuvéeに選ばれただけでなく、2015年にリリースされたFreemanの6つのピノ・ノワールすべてが彼女の好みの組み合わせで構成されました。
2015年は、Freemanがピノ・ノワールを調達するすべてのブドウ園で質の高い年でした。
収穫量は過去3年間に比べて大幅に少なく、これは干ばつの影響と、重要な開花期にあたる5月の冷涼な気候によるものです。
収穫は例年よりかなり早まりました。
Akikoは2015年のAkiko’s Cuvée ピノ・ノワールに、Keefer、Pratt Sexton、Campbell、そして自社ブドウ園のGloriaの4つのブドウ園を選びました。
これらのブドウ園は、西ソノマ・コーストのほぼ全域を代表しており、KeeferとGloriaはグリーンバレー地区の南東端、Campbellは北西端、さらに北にはFort Ross-Seaviewが位置しています。
2015年のAkiko’s Cuvéeは、グラスの中でほぐれ香りを解き放つまでにほぼ1時間かかることがありますが、これはこのワインに典型的なことです。
早摘みの2015年ヴィンテージの非常に熟した特徴も、Akikoのブレンド作りには影響せず、彼女は常に派手な樽よりも控えめで繊細な樽を好みます。
このワインの香りと複雑さは、2015年の6種類のピノ・ノワールの中でも比類がありません。このワインは2018年までセラーで寝かせるべきで、2028年まで楽しむことができます。
畑の割合
Campbell 31%
Keefer 26%
Pratt Sexton 25%
Gloria 18%
発酵
オープントップ発酵槽で5日間のコールドソーク(低温浸漬)
手作業で1日に1〜3回ピジャージュ(果帽を押し戻す作業)
フリーラン(自然に流れ出る果汁)は直接樽へ送る
プレス後の果汁は沈殿させて別々に樽熟成
樽熟成
フレンチオークで11ヶ月熟成
新樽 33%
1年使用樽 22%
2年使用樽 33%
3年使用樽 12%
瓶詰め日
2016年8月14日
生産量
750mlボトル = 418ケース
1.5Lボトル = 20ケース
テイスティング
グラスを傾けると、紫を帯びた濃い赤紫の中に深紅の輝きが浮かび上がり、まるで果実の凝縮感をそのまま映し出したかのような力強さと気品を感じさせます。
冷涼な産地のピノ・ノワールらしい深みのあるルビーレッドも印象的で、光の加減によって表情を変えながら、熟成への期待を高めます。
香りは複雑かつ華やか。
まず立ち上るのはバラの花びらのような芳しい香りと、スミレを思わせる可憐なフローラルノート。
続いて、ブラックチェリーやレッドチェリー、ブルーベリーのコンポート、そしていちじくやブラックベリーといった豊かな果実のアロマが幾重にも重なります。
そこにスパイシーなニュアンスやローム質の土壌を思わせる大地の香りが加わり、さらに新樽由来のトーストやバニラ、フレンチオークの温かみある香りが全体を包み込みます。
味わいはまさに見事な調和の結晶です。
アタックから広がるのは、ボリューム感のある果実味と活き活きとした酸味。
冷涼な産地特有の気候による酸の美しさと、豊かな日照がもたらした完熟果実の旨みが絶妙なバランスで共存しています。
口中では、豊潤な果実の層が時間とともに複雑に展開し、スパイスやトーストのニュアンスが立体感を加えます。
タンニンは熟していて緻密かつ滑らかで、果実のフレームをしっかりと支えながらもシルクのような質感をもたらします。
飲んだ日:2018-05-18
飲んだ場所:PINOT PALOOZA Tokyo 2018
価格:11,700円(公式HPで85ドル)
インポーター:ワイントゥスタイル