季節限定のビール。
毎年廃棄予定のブドウを使用して作られているビール。
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ビアデータ
ビール名:Grapevine 2023
生産地:日本 山梨県
生産者:FAR YEAST BREWING
アルコール:6.5%
IBU(苦さ 平均15~20):20
モルト:
ホップ:
タイプ:ジューシーIPA
価格:646円
ブリュワリー
ビールは数千年前から愛飲され、世界各地で文化に根ざして発展してきました。
ところが前世紀に起こった工業化は、ビール飲料を世界中に普及させることには成功したものの、その一方でビール自体に「黄色い炭酸飲料」という画一的でモノトーンな印象を与える事になってしまいました。
その結果ビールは、造り手の哲学や創意工夫によってではなく、一つの商品に投下されるプロモーション費用の大きさが重要となってくる大量生産品になり、ワインや日本酒と比べると多様性のないお酒に成り下がってしまいました。
1970年代からじわじわと起こった「クラフトビール」というムーブメントは、モノトーン化してしまったビールをもう一度大衆の手に取り戻し、多種多様なビールを楽しむための動きとも言えます。
当社は個性あふれるビールを世界中に届けることで、ビールに多様性を取り戻し、「民主化していく」ことをミッションとして活動しています。
このビールは
シャトー・メルシャン 勝沼ワイナリー(山梨県甲州市)のぶどう栽培を行う農地所有適格法人であるメルシャンヴィティコール勝沼株式会社との協業により、摘房されたワイン用ぶどうを活用した『Far Yeast Grapevine 2023(ファーイースト グレープバイン2023)』を11月7日(火)限定発売いたします。
■土に還る運命だったぶどう約600kgを活用
ワイン用のぶどうの栽培では、果実ひとつひとつに栄養が行き渡り凝縮感のある美味しいぶどうが育つよう、栽培の過程で房を間引く「摘房」という作業が行われ、摘房されたぶどうは土へと還されます。
当社では、日本ワインの一大産地である山梨県勝沼地区にあるメルシャン ヴィティコール勝沼とタッグを組み、摘房されワイン造りに使用されなかったぶどうを活用してクラフトビールにアップサイクルする取り組みを2021年より始めました。
今年で3年目となります。
摘房された果実は糖度が低く、ワイン醸造には適しませんが、ビールにするには十分な糖度があります。
これらを活かし、食ロス削減と香り豊かなビールへの再生を実現しています。
■今年は香り豊かな「甲州」と「シラー」を使用
『Far Yeast Grapevine』は、山梨をビールで盛り上げる「山梨応援プロジェクト」より、山梨のぶどうを使った限定商品として、毎年ビアスタイルを変えて発売しています。
今年は山梨ならではの白ワイン品種「甲州」と、赤ワイン品種「シラー」の2種類のぶどうを使用。
ネルソンソーヴィンホップを合わせることで、より芳醇なぶどうの香りが楽しめるJuicy IPA*を造りました。
* Juicy IPAとは:
米国Brewers Associationによるビアスタイル・ガイドラインにおいて「Juicy or Hazy India Pale Ale」と定義されているスタイルです。
ホップの「ジューシーなフレーバー」を引き出すことに焦点を当て、濁りのある見た目が特徴です。現在世界中の熱心なクラフトビールファンの間で最も注目されるスタイルの一つです。
2018年に定義された新しいビアスタイルにも関わらず、米国で最も権威のあるビール品評会Great American Beerfestivalでは2019年と2020年に最も出品数の多いカテゴリーとなっています。
当社では、近年ビール醸造技術で注目されている香気成分「チオール」に着目し、いままでにないアロマを纏った製品づくりに力を入れています。
「甲州」は、このチオールを豊富に含む品種です。
温暖な南フランスの原産の「シラー」は、近年の気候変化に対応するため新たな品種の栽培にも取り組むシャトー・メルシャンが、近年山梨の地で栽培に力を入れている品種です。
2019年には「シャトー・メルシャン 鴨居寺シラー 2017」が日本ワインコンクールで部門最高賞を受賞しており、今後県内での栽培が期待されています。
8月下旬、当社スタッフも山梨市の「シャトー・メルシャン 鴨居寺ヴィンヤード」のぶどう畑に赴き、摘房作業を行いました。
買い受けた約600kgの摘房果実を使用し、3000Lの製品を醸造しました。
テイスティング
黄金色。
青々とした生臭系のホップの香り。
少しブドウっぽい味わい。
ブドウの皮っぽさが生臭さに感じられていたのか。