飲んだワイン ドゥエ・プンティ/ノスタルジア ヒロセ2023 7点

最終更新日

イタリア語で2点と言う意味のワイナリー。

飲みやすい素直なシャルドネ。

 

ワインデータ

ワイン名:Nostalgia Hirose
生産地:Japan > Yamagata
生産者:Due Punti Vineyards (ドゥエ・プンティ)
品種:Chardonnay (シャルドネ)
スタイル:White Wine

ワイナリー

イタリア語でDUE PUNTI(ドゥエ プンティ)は直訳すると2点 (Two Points)、「品質最優先」と「広い視野で」という今後進めていくワイン造りにおいて大切にしたい2つの指針です。
ワインを造っていく上で当たり前にも思えるようなことですが、実際にこれらの指針で運営していくことはとても難しいことだと思っています。
だからこそ生産者名として名付け、これを軸に自分でも毎日飲みたいと思えるような高品質なワインを造っていきます。

大学生の頃に甘口のスパークリングワイン アスティでワインを美味しいと思い始め、それからワインショップやインポーター、ソムリエそして造り手側として経験を積み、またジャンルに囚われず飲み手としてもワインを楽しんできました。
特に生産者としての立場で働くようになってからは、どうしても自分でワインを造り表現してみたいと強く思うようになり今にいたります。

事業開始にあたって最も大切な土地探しは、冷涼気候である程度まとまった土地であること、そして主に南向きの傾斜を条件に探しました。
簡単には見つかりませんでしたが、北斗市の熱心な農業委員会の方との出会いがあったり、この地域でのパイオニアである農楽蔵の佐々木夫妻からブドウがどのように育っているか等、色々と教えていただいたこともあり今の北斗市の圃場にたどり着きました。
これから様々な試行錯誤をしながら、この土地での可能性をワインという飲み物で表現していけるようになりたいと願っています。

冷涼気候 x 黒ボク&粘土質土壌
イタリアはローマとほぼ同緯度に位置する北斗市。
1981-2010年の有効積算温度は1098でワイン用ぶどう生産地としても冷涼気候です
(フランス ブルゴーニュ Dijon 1202、 ドイツ ラインガウ Geisenheim 1095)
函館山を望む緩やかな南南西向きの斜面はこれから植樹し、ブドウ畑になっていく想像を掻き立ててくれるのには十分でした。
畑から見渡すことのできる大野平野、函館山、下北半島は美しく、裏の山側には石灰岩を豊富に含む餓廊鉱山があります。
気候としては津軽暖流のおかげで冬は北海道の中では比較的暖かい方になりますが、梅雨の時期には太平洋側の気候の影響を受け多湿で冷たい気温が続くことがあり、収穫量にとって重要な生育期間と被ってしまうと収穫量は厳しくなります。
それでもブドウの成熟にとって特に重要な秋には、北海道の中でも南部であるこの辺りの気候の恩恵を受け、暖かく雨の少ない日が続きます。

Due Punti Vineyardsの畑は粘土質の下層土があり、その上には団粒構造で水捌けと保水力の良い黒ボク土壌の表土があります。
世界の約1-2%程の特異な土壌で、ふかふかで密度が低く耕しやくなっています。
この土壌がある活火山地帯は熱帯地域に多く、ワインベルト地帯ではあまり分布していないため、ワイン用のブドウ栽培地としては個性的な土壌といえます。
日本の農業全般で言えば広く活用されている表土であり、海外のワイン産地だと、例えばスペインのカナリア諸島ではトラックいっぱいにこの表土を取って、低地の豆やジャガイモの栽培のために移動させたりしています。
他にもコーヒーやトウモロコシ、米、タバコや野菜が多く栽培されている、このような特異な土壌が北斗市の気候と相まって、果たしてどんなブドウやワインの味をもたらしてくれるのか楽しみです。

このワインは

原料となったブドウは北海道余市町から。
2021年ヴィンテージから原料を購入させていただくことができておりましたが、ついに去年より自社ワイナリーで仕込めるようになりました。
それに伴い、2023年ヴィンテージからは農家さん毎(安芸氏 or 廣瀬氏)でキュヴェを分けて醸しています。
3年醸造に携わらせてもらった余市町は、北斗市に移住してからも帰る度に懐かしい気持ちにさせてくれます。
そんな気持ちがノスタルジア(郷愁)というワイン名の由来になりました。

Viticulture:ブドウ栽培
生産地:北海道 余市町
Harvest:10月中旬
GDD:1500℃ (2023VT)
土壌:黒ボク土の表土と粘土質のサブソイル
シャルドネ:収量:70hl/ha。黒ボク土の表土と粘土質のサブソイル。廣瀬氏の農園にて栽培。

なんと余市や北斗のGDDは1500℃と数字だけ見てももはやブルゴーニュではなくボルドーのようなリージョンとなりました。
前年より200℃も積算温度が上がり、今ままでにあまりなかった鳥の被害に悩まされた年でもあります。
そして夏の作業は、、、とても体に堪えました

醸造
デブルバージュの後、土着酵母で発酵がスタート。
発酵開始後は温度のコントロールはせずに35%は500Lの樽、残りの65%はステンレスにて発酵。
澱とともに8ヶ月熟成。
清澄剤無添加、無濾過で少量の亜硫酸添加を行い7月11日に瓶詰め

タイプ:白ワイン
ブドウ品種:シャルドネ
アルコール:10.5%
pH:3.83
TA:5g/L
SO2 添加:20mg/L 発酵終了後のみ
MLF:有り
酵母:土着酵母
生産本数:約1,700本

テイスティング

輝きのある淡いレモンイエローが印象的で、透明感がそのフレッシュさを物語っています。
グラスを傾けると、光を柔らかく反射するその色合いが、上品で洗練された印象を与えます。
わずかに緑がかったニュアンスが、若々しく活き活きとしたキャラクターを予感させます。
香りは非常に繊細で、柑橘系の果実、特にレモンや白桃のフレッシュなアロマが最初に感じられます。
続いて、リンゴや和梨のような優しい甘みがほのかに漂い、エルダーフラワーの華やかなフローラルなニュアンスが重なります。
さらに、ブリオッシュを思わせるわずかな焼き菓子の香りが全体を包み込み、シンプルながらも奥行きのある香りのハーモニーを楽しめます。
口に含むと、レモンやピーチの豊かな果実味が広がり、心地よい酸味が軽やかさをもたらします。
果実味と酸味が穏やかに調和し、柔らかで丸みのある口当たりが特徴です。
後味には瑞々しい白桃や柑橘のフレーバーが余韻を彩り、ほのかな塩味が全体を引き締めます。
ミネラル感と旨みが味わいを深め、軽やかさの中に奥ゆかしさが感じられる仕上がりです。
さまざまな料理に寄り添う柔軟性を持ち、飲むたびに新たな発見がある辛口白ワインです。

飲んだ日:2024-12-01
飲んだ場所:オアシス
価格:5,280円

wineninja

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