飲んだワイン ルイ・ロデレール/コレクション244N.V. 8点

最終更新日

常に安定した美味しさを誇るロデレール。

2019年を中心にブレンドしたワイン。

 

ワインデータ

ワイン名:Collection 244
生産地:France > Champagne
生産者:Louis Roederer (ルイ・ロデレール)
品種:Chardonnay (シャルドネ), Pinot Noir (ピノ・ノワール), Pinot Meunier (ピノ・ムニエ)
スタイル:Sparkling Wine(White)

ワイナリー

日本語の公式ページがあります。

優れた企業家であったルイ・ロデレールは、1833年にメゾンを引き継ぐと、その卓越した洞察力でブドウの栽培に力を入れ、栽培から出荷に至るまで、「ワイン造り」のすべてを極めようとしました。
彼は、ワインの独特なスタイル、個性、味わいを築き上げ、19世紀半ばには、シャンパーニュ地方でグラン・クリュ畑をいくつか獲得し、現代的なシャンパーニュ・メゾンとは全く対照的な方法でワイン造りを行ってきました。

他のメゾンがブドウを外から買い付ける中、ルイ・ロデレールは自社畑のブドウの生育にこだわり続け、区画ごとの特徴について造詣を深めたことで、最高の土地だけを厳選して獲得することができました。
ルイ・ロデレールが描いた、「優れたワインはすべて、土壌の質、伝統に対する情熱、将来への鋭い眼差しによって生まれる」という基本理念によって、メゾンの名声と評判は確固たるものになりました。

後継者であるルイ・ロデレール2世も彼と同じく聡明な人物で、きめ細やかなシャンパーニュ造り、代々伝わる畑の経営方法、天性の度胸を父親から受け継ぎました。

彼は、自身の優れた洞察力で集めた様々な本や絵画からもインスピレーションを得ていました。
1870年代に入ると、当メゾンはワインの輸出を開始し、アメリカだけでなく、ロシア皇帝アレクサンドル2 世のもとにも渡りました。

生まれ持っての研究者であり、卓越したセンスを備えていたルイ・ロデレール2世は、ロシア皇帝のために特注のシャンパーニュを造り出すと共に、新しい構想を立ち上げました。
この、1876年に生産を開始した世界最古のプレスティージュ・キュヴェは、「クリスタル」と名付けられ、それ以来、クリスタルが持つ比類なき精巧さと上品さは、ルイ・ロデレールの卓越性を象徴し続け、高い評判を築き上げてきました。

1920年代には、後のオーナーとなるレオン・オルリー・ロデレールが、非常にバランスの優れた新しいワインを造り出すことに専念し、複数のヴィンテージを繊細に、かつ一貫してブレンドしていくことで、常に最高のクオリティをワインに保てるようにしました。
これが現在の「ブリュット・プルミエ」の基礎となり、このとき培った繊細なブレンド技術が、メゾンの復興に大きく役立ちました。

彼の死後、1933年から、芯の強い女性として知られた元妻のカミーユ・オルリー・ロデレールがオーナーを引き継ぎ、その偉大なる知性と並外れた活力でメゾンの経営にあたりました。
カミーユは競馬をこよなく愛し、世界で最も名高い厩舎のひとつを所有していました。
同時に、彼女は見識ある芸術の支援者でもあり、シャンパーニュの陽気で楽しい側面も受け入れていました。ランスにあるロデレール所有のタウンハウスでは、壮大な宴が多く催され、彼女が主催したこれらのパーティーはメゾンの歴史に深い影響を与え続けたと同時に、ルイ・ロデレールのシャンパーニュの愉しみ方が、新しい世代のワイン愛好家たちの間に広まっていきました。

醸造家であり農学者でもあった、カミーユの孫、ジャン・クロード・ルゾーがメゾンの全経営を引き継ぎ、ブドウ畑及び栽培が強化されました。
彼は、自身が持つブドウ栽培の専門知識を活かして、これまで以上に創意あふれるブドウ栽培を行い、メゾンの基本理念を忠実に実践しました。

独立した家族経営のスタイルを守り続けて、現在メゾンは、ジャン・クロード・ルゾーの息子であり、ロデレール家の7代目にあたるフレデリック・ルゾーのもとに経営が行われています。
長きに渡って粘り強く、そして揺るぎない信念で作品を造り続けてきた結果、ルイ・ロデレールの年間輸出総量は今では300万本に達し、世界中でそのシャンパーニュが振る舞われています。

このワインは

この30年の間、気候変動はシャンパーニュ地方に様々な影響を及ぼしてきましたが、ルイ・ロデレールではこ れをチャンスと捉えました。
なぜなら気温上昇によって、以前よりも早いタイミングで完熟したブドウを収穫することができるようになり、さらに多くのヴィンテージ・キュヴェを生み出す機会を得ることが可能となっていたからです。
こうした新たな環境がルイ・ロデレール のワインの変化に影響を及ぼしたのは必然的であり、ブドウ品種やその土地の個性を活かすワイン造りの可能性が広がりました。

ロデレールスタイルの自由を体現する「コレクション」は、ワイン造りへのノウハウや卓越した品質向上へのルイ・ロデレールの飽くなき探究心を追求し続けます。
「コレクション」の土台には、細分化された畑の区画選別から生まれるマルチ・ヴィンテージの アッサンブラージュがあります。
これらの畑はシャンパーニュ地方の中心に位置し、持続可能なブドウ栽培が実践されています。

それゆえ、我々は自社畑の中にある「コレクション」の区画をはじめ、長年にわたるパートナーであるブドウ農家の畑まで、すべての畑の区画を見直しました。
その区画のリュー・ディや日照、石灰質の土壌をはじめとする土壌の個性などを検証し、ヴィンテージ毎に最良の果実をもたらしてくれる「テロワールの中心」ともいえる最良の区画のみを厳選しました。

テイスティング

やや濃いめのレモンイエローが目に飛び込んできます。
その色調には気品があり、どこか温かみを感じさせる落ち着いたゴールドのニュアンスも含んでいます。
泡は非常に溌剌としており、繊細な気泡がグラスの中を絶え間なく立ち昇り、まるで祝祭の幕開けを告げるような活気に満ちた印象を与えます。
時間が経ってもその泡は活力を失わず、最後までこのワインの鮮度と生命力を物語ります。
香り立ちは非常に複層的で、まず洋梨や桃、青リンゴといった瑞々しい果実のアロマが優しく広がります。
それに続いて、ブリオッシュやアーモンド、無塩バターのような香ばしさと柔らかなコクが顔を覗かせ、熟成のニュアンスを美しく引き立てています。
イーストやクリーム、スイカズラのような白い花、さらには石灰やミネラルを思わせる清らかな香りがバランスよく重なり、グラスの中で香りが絶えず変化し続ける様は、まさに芸術品のようです。
時間とともに、香りはより深まり、複雑さと優雅さを同時に楽しめます。
口に含むと、まず驚くほど滑らかで密度のある泡が舌を包み込みます。
果実の甘やかさは控えめで、むしろ旨味の要素が際立ち、芳醇でまろやかな味わいが広がります。
レモン果汁のようなジューシーな酸が生き生きと感じられ、そこに穀物やブリオッシュのような旨味が調和し、非常にバランスのとれた構成を見せています。
ミドルパレットにはふくよかさと奥行きがあり、時間をかけてゆっくりとその複雑さを開いていきます。
ほろ苦さを伴うミネラルが味わいをきゅっと引き締め、儚くも長く続く余韻には、香りと旨味が美しく溶け合いながら残ります。
その後味は繊細ながら印象的で、まるでひとつの詩を読み終えたかのような充実感をもたらします。

飲んだ日:2022-06-24
飲んだ場所:switch
価格:10,450円
インポーター:エノテカ

wineninja

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